X線光電子分光法を用いたポリ塩化ビニルの表面劣化分析
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概要
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X線光電子分光分析法(XPS)を用いたポリ塩化ビニル(塩ビ)の表面劣化状況を分析する手法を検討した.測定手法としてCls,Cl2p,Olsの各ピーク面積から炭素量を基準にした塩酸量や酸化量の定量分析を行い塩ビ表面の劣化状況を解析した.塩ビは可塑剤などの添加剤を含んでおり,表面にはこの添加剤の層が存在するため,XPS分析を行う以前に試料中の添加剤を抽出により取り除く必要がある.抽出溶媒,抽出時間を検討した結果,ジエチルエーテルがヘキサンやエタノールに比べて良好な結果が得られることが分かった.又,抽出時間は4時間以上必要であり,8時間に設定した.ジエチルエーテル抽出後の試料表面は酸素濃度が深さ方向に大きく変化しておりこれを更に水で16時間抽出することにより安定な定量値が得られた.水抽出を行った場合,相対標準偏差6%で塩素量を,13%で酸素量を測定することが可能であることが確認できた.この手法を用いて熱劣化試料の分析を行った結果,塩ビの表面劣化は脱塩酸反応と酸化反応が同時に起こっていることが推定された.又,Clsピークをピーク分離することにより,カルボニル基やカルボキシル基が生成することも確認できた.
- 1989-10-05
著者
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志智 雄之
日産自動車(株)中央研究材料分析センター
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有田 雅晴
日産自動車(株)中央研究材料分析センター
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志智 雄之
日産アーク
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志智 雄之
日産自動車(株)中央研究所材料研究所
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有田 雅晴
日産アーク
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