酵素電極の酵素(β-D-グルコースオキシダーゼ)阻害剤スクリーニングへの適用
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概要
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β-D-グルコースォキシダーゼ(GOD)を包括固定化したコロジオン(パイロキシン)膜を, Clark型酸素電極に装着した酵素電極を,in vitroでの阻害剤スクリーニングに用いた.このセンサーは,25℃,pH 5.5 の酢酸緩衝液中,定常かくはん下,基質(グルコース)濃度に対し,0.1 mMから6mMまで良好な直線的応答を示した.固定化GODの見掛けのミカエリス定数(K_m')は,(17〜35) mMでこの値は膜を作る条件により変動した.Lineweaver-Burkプロット,Dixonプロットを検討し,硝酸ナトリウムとセミカルバジドは,きっ抗阻害を示し,それぞれの阻害剤定数は,13 mM,43 mMであり,金属イオンでは,TI^+,Mg^<2+>,Ca^<2+>,Zn^<2+>,Cd^<2+>,Pb^<2+>,Ni^<2+>,Co^<2+>,Fe^<3+>による阻害は見られず,Ag^+,Hg^<2+>,Cu^<2+>が阻害を示し,Cu^<2+>は非きっ抗阻害に近い挙動を示すとともに,酵素及び酵素基質複合体に対する阻害剤定数値は,ほぼ近いが前者が大きく,その値はCu^<2+>の場合,0.4mM程度であり,Hg^<2+>は非きっ抗と反きっ抗の中間で反きっ抗が強く,K_I'値は(0.6〜l)mM程度であった.このように,比較的簡単な操作で作れ,繰り返し使用可能な酵素電極が,酵素阻害により薬効を示す薬剤の,in vitroでのスクリーニングに有力な方法であることが分かった.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1981-02-05