液膜及び脂質二分子膜を介したイオン透過反応のボルタンメトリー的解釈
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概要
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液膜(LM)を介した2水相(W1,W2)間のイオンの透過反応を, 膜電位(W1-W2間電位差)と膜電流(W1-W2間イオン移動電流)の関係曲線(イオンの膜透過ボルタモグラム, VITTM)として測定し, これをW1/LM, LM/W2界面でのイオン移動ボルタモグラムと比較して, 膜透過反応を解析した.膜が十分な電解質を含む場合には, イオンの膜透過反応は二つの界面でのイオン移動反応によって決定されることを見いだし, これを念頭において, 膜透過に及ぼす共存イオンの影響や定膜電位下での電解によるイオンの分離条件などを考察した.一方, 超薄膜である脂質二分子膜(BLM)でのイオン透過反応についてもVITTMを測定し, 液膜でのそれとの類似性に着目して, BLMでのイオン透過過程を解析した.BLM系でのイオン移動は, 系に添加した疎水性イオンが高濃度に共存する親水性イオンを対イオンとしてBLMに自発的に濃縮されたために生じることが分かった.従って, 添加イオンの種類と濃度を変えたときVITTMは変形し, これらは添加イオンの疎水性度(BLMへの濃縮性)を反映した四つのタイプに分類できた.各々のタイプのVITTMの成因を明らかにするとともに, 添加イオン, 共存イオン, BLMの性質とVITTMの形状との関係を考察した.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1995-11-05
著者
-
白井 理
京大院農
-
白井 理
京都大学大学院農学研究科
-
木原 壯林
京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科
-
白井 理
京都大学化学研究所
-
吉田 裕美
京都大学化学研究所
-
白井 理
Faculty Of Agriculture Kyoto University
-
白井 理
Division Of Applied Life Sciences Graduate School Of Agriculture Kyoto University
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