同時正逆抽出法を利用した1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトールによる鉄, コバルト及びニッケルの分離
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概要
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同時正逆抽出分離法を, 従来のバッチ法では相互分離が困難であるFe(III), Co(II), Ni(II)に適用した.過剰試薬の除去により反応速度の差を増幅して分離する方法を検討した.抽出試薬は, 比較的感度の良いことから1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール(PAN)が用いられた.抽出側のpHは4.0,逆抽出側は6M硝酸溶液が使用された.本法では過剰のPANはすぐに逆抽出され, 抽出側フラスコに長くとどまらないため反応速度の小さいNiはほとんど抽出されず, 容易に抽出されるFe(III), Co(II)から分離された.Ni分離の最適な試薬量は抽出溶媒として全量50mlのクロロホルムが使用されたとき, 7.1×10^<-5>〜1.4×10^<-4>molの範囲であった.このとき, 抽出されたFe(III)は容易に逆抽出側に移動し, 逆抽出されないCoと分離された.40分間の正逆抽出で, 100%のFe(III)を分離できるのはPAN7.1×10^<-5>mol/50mlクロロホルムのときであり, 低濃度では抽出が十分でなく高濃度では逆抽出が十分でなかった.Fe50μg, Ni50μgの共存下でCoの定量範囲は, 1.0〜25μgであった.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1994-05-05