タンパク誤差現象におけるタンパク質-色素結合の化学平衡の解析
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概要
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生物試料のタンパク質の定量に広く応用されているタンパク誤差の化学平衡について検討した.タンパク誤差の化学平衡に関する計算はそれがタンパク質分子の正荷電したアミノ基と解離した色素陰イオン間の相互作用により起こると仮定し, 行った.又, タンパク質と色素の相互作用には, 1分子のタンパク質が数分子の色素と反応するので多くの平衡が存在すると言われているが, 第一反応の平衡定数は他の平衡定数に比べて非常に大きく, 第一反応以外のタンパク誤差に対する寄与は無視できると仮定した.これらの仮定のもとで計算された結果は種々の実験から得られた結果と定性的に一致し, タンパク質分子の正荷電したアミノ基と色素陰イオン間の相互作用がタンパク誤差の発現に重要な役割を担っていることを示唆していた.更に, 色素タンパク質複合体の平衡定数が約10^6〜10^7である場合, 色素の電離定数が10^<-7>より小さいならば, タンパク誤差はほとんど起こらないと考えられた.それゆえ, 大きな電離定数を有する色素の検索と選択は生物試料のタンパク質の定量に適する色素を与えると考えられた.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1993-08-05
著者
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