ジベンジルジチオカルバミン酸ナトリウムを沈殿剤として用いた地下水中の微量クロム(VI)の蛍光X線分析法による定量
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概要
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ジベンジルジチオカルバミン酸ナトリウム(DBDTC)を用いて, 地下水中の微量クロム(VI)を沈殿濃縮し, XRF法で定量する方法を検討した.その結果, 100mlの水溶液中で, クロム(VI)0〜100μgをDBDTCと錯体生成させるための最適条件はpH4,熟成時間15分, 及びDBDTC(1%溶液)の添加量3ml付近であった.この条件で, 検量線を作成したところ, クロム(VI)0〜100μg/100mlの範囲で良好な直線関係が得られた.又, 検出限界を求めたところ0.07μg/100mlであった.クロム(VI)20μg/100mlに対して, 共存イオンの影響を検討したところ, Ca(II), Mg(II), Fe(III), Cu(II), Si(IV), Na(I), Cl^-などは1000μgまで添加してもなんら影響を示さなかった.Cr(III)1000μgの添加でわずかに定量値が正の誤差を示す程度である.Ni(II)及びZn(II)500μg以上, Mn(II)100μg以上存在すると定量値が負の誤差を示すことが分かった.実試料として, 東関東の2地点における地下水中のクロム(VI)を本法とJIS法で測定したところ, ほぼ一致する良好な結果を得た.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1991-02-05