大気粉じん中多環芳香族炭化水素類の多成分同時抽出における超臨界流体抽出法の適用 (<特集>環境ホルモンと分析化学)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ベンゾ[a]ピレン(BaP)等の多環芳香族炭化水素類(PAHs)の多くは変異原性と発がん性を有することが良く知られており, 最近, 内分泌攪乱化学物質として疑われている. 大気粉じんからのPAHsの抽出・分離を迅速に行うため, 超臨界流体抽出(SFE)を用いてその適用について検討した. 30種類のPAHsを添加した大気粉じんについてSFEによる抽出を行い, PAHsの定量性に及ぼすSFEの装置パラメーターを明らかにした. SFEの抽出効率を従来の超音波抽出法と比較し, 実試料分析への適用を検討した. PAHsの抽出効率は抽出温度, 流体密度, 流体量, 抽出時間, 溶出溶媒及び試料濃度により影響された. 一方, SFE条件の3段階組み合わせや超臨界CO_2への5%メタノール添加による修飾剤の使用は回収率の向上に効果を示した. フェナントレン(M.W.178)より大きい分子量を持つPAHsの添加回収率は超音波抽出法の67.8〜99.5%に対してSFE法で70.3〜103%であり, SFEの抽出効率は超音波抽出法と同等以上であることが分かった. 両抽出法を用いた大気粉じん31試料中のBaP測定において, SFEは超音波抽出法の平均濃度の1.2倍, 相関係数は1.0で両者に良い一致が認められた. 以上の結果からSFEの最適抽出条件を得ることができ, SFE法は大気粉じん中のPAHs多成分同時分析に迅速な抽出法として有用であることを明らかにした.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1999-06-05
著者
関連論文
- 多環芳香族炭化水素類の試料保存時の安定性について
- 高速道路におけるトンネルダクト堆積粉じんの多環芳香族炭化水素組成とその酸化体の生成
- 中国3都市における大気中の多環芳香族炭化水素類の汚染特性
- 大気粉じん中多環芳香族炭化水素類の多成分同時抽出における超臨界流体抽出法の適用 (環境ホルモンと分析化学)
- 相対保持時間指標を用いるキャピラリーガスクロマトグラフィー/質量分析法による大気粉じん中の多環芳香族炭化水素の分析
- 県内における有害大気汚染物質の地域特性に関する研究(2)大気粉じん中の多環芳香族炭化水素類の濃度変動と要因
- 県内における有害大気汚染物質の地域特性に関する研究(1)超臨界CO2抽出による大気環境試料中の多環芳香族炭化水素類の測定とその解析