芳香環ペンダントアーム型多座配位子を用いるイオン分離へのアプローチ
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概要
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2-ピリジルメチル基や1-ピラゾリルメチル基, 2-ヒドロキシフェニルメチル基などの"芳香環ペンダントアーム(pendantarm)"を複数有する多座配位子の, 陽イオン分離や陰イオン分離への分析化学的利用可能性について, 各種の基礎的な検討を行った. これらの配位子は疎水性や電子的効果, 構造的剛直性, 立体的選択性などに関し, 芳香環ペンダントアームに基因する特異性を有するため, 各種金属イオンの抽出分離において, 従来の抽出試薬とは異なる選択性を示した. 例えば, N,N-ビス(2-ヒドロキシフェニルメチル)-N,N'-ビス(2-ピリジルメチル)エチレンジアミン(H_2bbpen)による二価遷移金属イオンのキレート抽出選択性はIrving-Williams則に従わず, 配位子の空孔サイズに基づくイオンサイズ認識が行われていることが示唆された. 又, N,N'-ビス(5-ニトロサリチリデン)エチレンジアミン(H_2Nsalen)による三価ランタノイドイオンの抽出では, 配位子の構造的剛直性に基づく高い相互分離能が実現された. 更に, 各種金属イオンと強く錯形成したビス(2-ピリジルメチル)アミノ基(bpa-基)をイオンクロマトグラフィーの固定相陰イオン交換基として用いると, イオン交換と配位子交換の2種類の相互作用の併存により, 陰イオンのクロマトグラフ分離において, 溶出順序の反転など従来とは異なる分離機能が実現された.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1999-01-05
著者
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