データ構造から見た、データの高水準な意味付け
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概要
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近年提案されている、ユーザ・インターフェイス・マネジメント・システム(UIMS)を利用してアプリケーションを開発するという方法は、アプリケーションは、その機能を実現する部分とユーザとのインターフェイスを実現する部分(それぞれ、機能実現部分及びインターフェイス実現部分と呼ぶ)とに分離でき、それぞれを独立して開発できるという考えに基づいたものである。我々は、この考え方に基づいて、幾つかのアプリケーション開発を行ってきた。そして、その経験を通じて以下ような現象とその問題点を発見した。(1)機能実現部分の内部で使用されるデータ構造は、特に、知識ベース・システムの構築においては、アプリケーションの開発の過程で変更されることが多い。しかし、この変更に応じてインターフェイス実現部分の対応するコードを変更していく作業は時間がかかり、心理的にも単調な作業で負担になる。(2)ユーザ・インターフェイスの仕様自体も、アプリケーション作成の過程や、完成後においても変更されることがありうる。このときに、機能実行部分にまで変更を加えることは先程と同様負担であり、バグを誘発する要因でもある。我々の要求は、(A)機能実現部分でのデータ構造の変更を吸収し、かつ(B)ユーザ・インターフェイスの仕様変更に容易に対応できるようなインターフェイス実現部分の機構を開発することである。これらの要求を満たすために、我々は図1のような構成を考えた。画面上への表示は、アプリケーションからの表示すべきデータの収集、収集したデータの加工、そして最終的な表示の3つのルーチンで行われる。今回はこのうち前者について述べる。要求Aを満たすためには、アプリケーションと収集ルーチンとの両者の間で、データ構造の変更を吸収する汎用な情報交換手段を定義しておく必要がある。要求Bを満たすためには、収集するデータを指定するのにプログラムを書くのではなく、収集したい情報の仕様を与えれば、自動的にデータを収集するような汎用の機構、およびそのための記述言語を定義しておく必要がある。我々は、汎用なデータ構造として仮想的なテーブルを想定し、射影関数によって機能実現部のデータ構造との対応を採ることにした。そしてテーブル上の収集データ記述言語として関係データ・ベースの問合せ言語を再帰的合併を許すように拡張した言語を用意した。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1988-09-12
著者
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