将棋の感想戦にみられる共同学習について
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概要
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通信技術やマルチメディア技術の発達に伴い, グループウエアの研究も盛んになってきている。それにつれて, 教育工学の分野では, 共同学習や協調学習がテーマとなり, 様々な研究が行われるようになっている。しかし, 共同学習の効果に関しては, 様々な報告がある上に, 共同学習場面における学習者の認知面での研究は立ち後れていると言わざるを得ない。一方, コンピュータチェスの分野では, ディープブルー(コンピュータチェス)が, ついにカスパロフ(チェスのグランドマスター)に勝利を収め, 将棋の分野でも日々コンピュータの棋力は向上している。しかし, それらのソフトは, 強さを求めるあまりに, それに勝てない人間からは「ただ自分より強いだけのマシン」となり, ユーザーインターフェースという観点からは, 面白くない対戦相手になっている。本研究では, 共同学習の例として「将棋の感想戦」に注目した。将棋の感想戦では, 「学習者は比較的高い学習意欲を持っていること」「学習効果があることが経験的に知られていること」から効果的な共同学習が起こっている好例であると考えた。この感想戦機能を, 将来, 強い将棋ソフトに備えることができれば, 多くの将棋の学習者に貢献できると考えている。また, 同様の知見を一般の教育システムへ応用することも考えられる。我々は, そのための基礎研究として, 実際に二人の被験者を使っておよそ2ヶ月半にわたって将棋を学習させ, 感想戦がどのように学習過程に影響を与えているのかを発話プロトコルデータを取って, その過程を認知科学的に分析して調査した。その結果をもとにして, 学習者の共同学習時の認知モデルの構築を目指していく。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1997-09-24
著者
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