仮説検証型認識知識処理における処理速度と精度の評価実験
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概要
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文字認識技術の実用のためには, 知識処理による認識候補の補正が不可欠である。また, より高い読み取り性能を追求するためには, パタン処理 (個別文字切り出し/認識)や知識処理の要素技術だけでなく, 両者の関係にまで踏み込んた最適性を議論する必要がある。従来の代表的な知識処理として, ボトムアップ型の方式がある。パタン処理の出力する候補群を単語辞書や単語接続関係といった知識と照合し, 最もよく合致するものを出力する構成である。しかし, このような直列的な構成では, 限られた処理時間での読み取り精度向上に限界がある。例えば, パタン処理出力の正解含有率を高くすることで知識処理での正読率を高めることはできる。しかし, そのためにパタン処理の出力する候補が多くなると, 知識処理は膨大な処理時間を必要とし, しかも増加した処理時間の多くは正しい読み取りに直接関係しないという無駄が生じる。これに対し, パタン処理と知識処理の関係という観点から, 我々は仮説検証型の認識知識処理を提案している。概念図を図1に示す。この方式では, 従来のボトムアップ型知識処理を読み取り候補を生成するための仮説生成処理と位置付ける。そして, そこで生成した仮説を文字認識/パタン的な情報から検証して尤度を補正し, 候補選択や棄却を精密に行う処理を加えたことを特長としている。この構成において, 知識処理はパタン処理に対して, 仮説生成に必要な候補以上の過度な正解出力を要求しない。その結果, 従来のボトムアップ型に比べ, パタン処理および知識処理での無駄な処理を削減することができる。そして, 削減した時間の一部を出力判定に必要不可欠な詳細処理(検証処理)に配分することで, 全体として処理速度/精度の向上が期待できる。すでに文献[1]でこの基本的なアイデアを報告し, 検証処理の読み取り精度への寄与を評価した。本稿では, 処理時間と読み取り精度の評価結果を述べる。
- 社団法人情報処理学会の論文
- 1997-09-24
著者
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