要素単語の相互チェックに基づく手書き文字列認識知識処理
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概要
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枠なし手書き文字列の読み取りでは,単独文字の切り出しや認識が難しい.そのため,実用化に際しては対象を限定し,強い知識からの制約で認識候補を選択・補正することが行われている.代表例として,住所,帳票の読み取りなどが挙げられる.記入枠制限の有無にかかわらず従来行われている知識処理は,(1)辞書との単語照合,(2)単語間の連接関係チェック,の2点が中心であるが,特定の読み取り対象について,複数単語間の冗長性に着目した知識処理が考えられる.例えば,文献[2]では枠あり帳票の読み取りにおいて,氏名漢字に対してふりがなという冗長な情報を照合し,飛躍的に読み取り性能を上げたと報告されている.正解を格納したテーブルと認識候補文字とを直接比較して,単語を相互に補正し合っている.ただし,上記の処理を枠なし手書きに直接応用することは難しい.文献[2]のように記入枠ありでかつ記入単語の種類(例えば,漢字氏名,ふりがななど)が指定されているという条件下では,文字切り出しの曖昧さがなく,各認識候補文字と正解レコード中の文字との対応も決まっている.したがって,正解の要素単語の組合せを登録したテーブル(正解テーブル)と文字単位で直接照合することが比較的容易である.これに対し枠なし手書きの場合は,文字の切り出しが複数候補になるとともに,どの種類の単語がどこに書かれているのかが事前にはわからない.文字の切り出しと認識多候補をふまえて,さらに単語の種類の可能性を考慮し,図1のように文字を基本としてテーブルとの照合を行うと,処理量が非常に多くなるという困難さがある.しかし,文字切り出しや文字認識の難易度は枠なし手書きの方が圧倒的に高く,単語間の冗長性を利用した知識処理の効果は大きいと考えられる.そこで,枠なし手書きでも要素単語の相互チェックに基づく知識処理を可能とするために,文字認識候補から要素単語候補をいったん抽出して要素単語の種類を決めた後,単語レベルで正解テーブルと照合する処理方式を提案する.
- 社団法人情報処理学会の論文
- 1996-09-04
著者
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