LOTOS仕様の分散ネットワーク環境への実装に関する一考察

概要

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LOTOSはISOで開発された仕様記述言語であり、OSIの通信プロトコル、並列/分散アルゴリズムと分散システムなどの仕様記述に広く使われることが期待されている。LOTOSで記述された仕様を分散ネットワーク環境で実装するには、(1)仕様を分散地点に配置、(2)稼働可能な形式(例えば、C言語プログラム)に変換、(3)仕様の意味どおりに動作させるなどが要求される。(1)は負荷分散の理論と技術を使用すれば、可能になる。(2)はLOTOSのコンパイラによって実現できる。本論文では、(3)に注目し、分散ネットワーク環境で仕様の意味どおりに動作させるメカニズムを開発することを目的とする。LOTOS仕様の意味はLTSによって与えられ、本質的に言えば、一連のマルチ・ランデブー(イベント)の実行順序と把握することができる。従って、マルチ・ランデブーを正確に動作させるメカニズムを構成(用意)すれば、LOTOS仕様の実装が容易になる。そのため、本稿では、研究の焦点を分散ネットワーク環境でのマルチ・ランデブーの実装メカニズムに絞る。マルチ・ランデブーは、次のような性質を持つ。(1)複数のプロセスがあるゲートを介し、同時に1つのイベントの生起に参加するという基本要求がある。(2)非決定的な仕様記述ができる。(3)基本要求を満足するすべてのマルチ・ランデブーの中の一部しか実行できない場合がありうる。(4)同期グループの数と各同期グループのメンバ(同じゲートに関係するプロセス)の数が実行中に変化しうる。マルチ・ランデブーの実装メカニズムを構成する際に、実際のコンピュータ環境の上で、上述したマルチ・ランデブーの性質をいかに実現するかを考えなくてはならない。つまり、(1)同期の基本要求の満足性の判断、(2)複数の非決定的な仕様記述からの選択決定、(3)の場合、実行すべき部分の判断、選択、決定などは実装の問題点となる。また、(4)の状況においても、(1)(2)(3)の性質を忠実に実現する必要がある。とくに、分散ネットワーク環境の上で、各地点はローカル情報しか持たず、判断、選択決定はより難しくなる。そこで、本論文においては、分散ネットワーク環境に適合するアルゴリズムを提案する。基本アイデアとして、(1)1つの同期プロセス・グループに1つの``同期部分木"を生成し、(2)各地点のマルチ・ランデブー分散アルゴリズムは、"同期部分木"を通じて、メッセージを交換し、実行すべきマルチ・ランデブーの判断、選択、決定をする。以下、2節で、マルチ・ランデブーの実装問題と分散ネットワーク環境に関する諸定義を与え、3節で、マルチ・ランデブー分散アルゴリズムの基本的考え方を述べる。
一般社団法人情報処理学会の論文
1991-02-25

LOTOS仕様の分散ネットワーク環境への実装に関する一考察

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