GCを視覚化したLisp
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概要
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Lispのようなリスト処理言語では,ガーベッジコレクション(GC)によって自動的にメモリ管理が行なわれるため,アプリケーションプログラマはメモリ管理に煩わされることなくプログラムを書くことができる.GCの効率は処理系自体の効率に大きく影響するため,様々なGCアルゴリズムが研究,開発されている.システムプログラマが処理系を製作する際にはアーキテクチャなどの様々な要素を考慮してGCアルゴリズムを選択する必要がある.しかし,処理系作成の初心者にとっては,各種のGCアルゴリズムの特徴を理解するのは決して易しいことではない.それは,GCをはじめとする計算機内部で行なわれる処理は,実際に目で見ることができないからである.「計算機内部の処理の様子を実際に目で認識できるような環境」があれば,そのような処理を容易に理解できるようになる.現在すでにApple LispでGCの様子を目で見ることができ,実際にLispやGCの教育のために役立っている.本研究においては汎用ワークステーション上でLispインタプリタにおけるセル空間の使われ方やスタックの使用状況を視覚化する.GCという目には見えない処理を見せることにより,GCに対する理解を深め,スタックの使われ方を見せることにより,再帰に対する理解を深めることができる.システムプログラマを育てる際に有効な学習環境を提供することができる.また,アプリケーションプログラマにとっても,セル消費の様子やスタックの伸び縮みを実際に目で見ることによりそのアプリケーションの性質を知ることができる.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1994-09-20