帰納的学習と対象知識を用いた知識獲得システム : KAISER

概要

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近年,分類・認識・診断などの処理を行なうシステムを,種々の知識を柔軟に利用できる知識ベースシステムとして構築しようとする試みが盛んになりつつあるが,これに伴い,知識獲得の効率化・高度化に対する要求が急速に高まってきている.このような要求を背景として,知識の整理や入力を支援する環境に関する研究[1],帰納的な学習により例題から知識を生成しようとする研究[2],対象に関する理論的な知識を用いて演繹的に問題を分析・説明することにより適切な詳細さを持った対象知識を生成しようとする研究[3]などが行なわれてきた.しかし,従来のシステムの多くは,人間が意識下に持つ知識を計算機に移植する段階の支援を主眼としたものであり,意識外の知識を人間に思い起こさせる支援については消極的なレベルに留まっていたと言わざるを得ない.ところが真の知識獲得の難しさはこの後者にあると言うことができる.この観点からより積極的な支援を目指して様々な研究[4]が行なわれてきた.このような知識獲得システムにおいては,如何にして的確な質問を適切な時期に行なうか,その「ネタ」をどこからどのようにして抽出するかなど,多くの困難な問題を抱えている.本稿では,専門家から得られた例題を基に分類形の知識を帰納的に学習するとともに,学習対象に関する理論的な因果知識等を用いてその知識を評価・解釈することにより専門家に新たな知識について質問を行い,学習対象の理論的な裏付けを伴った知識を効率よく獲得することを目指した知識獲得システムKAISER(a Knowledge Acquisition Interactive System by Example-based Reasoning)の設計思想・構成の概要について述べる.
一般社団法人情報処理学会の論文
1990-03-14

帰納的学習と対象知識を用いた知識獲得システム : KAISER

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