神経回路連想システムWAVEの自然言語理解への適用
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概要
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自然言語の処理や理解を計算機上で行なおうとする場合、文脈や状況に依存して語の意味などの曖昧性を解消することは、必要不可欠でありながら、非常に因難な問題を抱えている。それは曖昧性を解消するためのルールや、文脈専用の情報を陽に記述することには限界があったためである。この解決策として、概念を均質な構造の上で表現し、高密度の連想によって解消することが望まれる。好例はWaltzとPollackのモデルである。入力レベル、構文レベル、意味レベル、文脈レベルを一つのネットワークの上に構築し、ニューロンの発火と伝搬によって最終的に語の多義性が解消されている。興奮性結合と抑制性結合の二種類の結合の作用で葛藤が生じ、解決されるプロセスは人間の思考に似ているという孝察もある。しかしこのモデルには問題点も多い。第一に、二種類の結合は人間の手によって恣意的に張られており、本来学習によって得られるべき重み値を得る方法については全く書かれていないことである。第二に、単語のマイクロフィーチャの定義が曖昧である。第三に、文脈部が区別されていて、予め定義された単語のみが文脈となりうる。最後に、人間の思考のプロセスは様々なレベル、様々な知識による干渉や中断・再開が入るのだが、このモデルではインタラクションに対処する術がない。そこで、意味的な高密度・超並列連想を、事例からの自然な付加的学習により可能とした神経回路網で実現し、記号処理による検証部を併せたシステムWAVEを自然言語理解に適用した結果を示す。このシステムは、人間が環境から知識を獲得し、概念を連合対記憶によって記銘、相起し、それを論理部で検証しながら推論を行なうという、最も高次の連想推論部としての位置づけを持つ。
- 社団法人情報処理学会の論文
- 1993-03-01
著者
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