エージェント集団による創発的問題解決
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概要
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近年、欧米を中心として人工生命と呼ばれる研究が盛んになってきている。人工生命は、米国のサンタフェ研究所による複雑適応系に関する研究の一つのテーマであり、分子レベルから生態系レベルまで広く自然界に含まれる様々な複雑系を解明し理解しようとするものである。人工生命の基本的な考え方は、複雑系の振舞いは、その系を構成する単純な要素が数多く集まり簡単なインタラクションを行うことによって創発的(emergent)に発生するというものである。創発(emergence)とは、既存の要素の結合や再編成の結果、全く新しい性質や状態が出現することを言う。水素と酸素が化合して水ができる現象や、様々なタンパク質が集まって組織や器官ができる現象などは創発の例である。一方、近年の並列分散ブームによって、分散AIや群知能ロボットといった、数多くのエージェントによって問題解決を行おうとする研究も盛んになってきている。本研究は、このようなエージェント集団による問題解決に対して、創発という概念を導入しようとする試みである。本稿では、まず創発的な問題解決とは何かについて述べる。次に一つの例題を設定し、それを創発的に解決するために各エージェントが持つべき基本機能や行動パターンについて検討することによって創発的問題解決の可能性を探る。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1993-03-01
著者
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