4次元同次座標系における可逆的座標変換
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概要
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ある形状データに幾何学的変換を繰り返し施す必要のあるプログラムにおいては,もとのデータの格納領域とは別に変換後のデータの格納領域を確保しておくのが常識である.これは,一般には,計算誤差(オーバーフロー,アンダーフローを含めて)によって元のデータの持つ情報が完全には保存されないためである.ここで,計算誤差は無限精度の演算を行った結果からの適当に定めた距離で定義される.ところがディジタル計算で生ずる計算結果はアルゴリズムによって決定論的に一意に決まるという性質がある.つまり,誤差といっても確率的なものではない.これは,計算誤差を生ずる有限精度の演算においても,もしその逆アルゴリズムが存在するならば,変換後のデータからもとのデータを完全に復元することが可能であることを示している.もっとも簡単な例をあげれば,整数データxにある実数定数aを加え,得られた結果を整数近似するという変換f_a(x)=int(x+a)=x+int(a)を考えてみよう(int()は例えば最近傍の整数をとる整数近似関数).ここで,整数演算はある剰余系での演算とする.例えば,整数表現が8ビット符号なしならば結果は256による剰余をとられ,0〜255の範囲の整数になる.この変換に対して変換g_a(x)=x-int(a)は,明らかに逆変換になっている.従って,任意のaに対して,変換後データからもとのデータを復元することができる.本稿では任意の射影変換に対して同次座標表現のもとでこの様な逆アルゴリズムの存在する座標変換の演算法を提案する.この方法は,筆者が以前に,ディジタル画像の可逆的幾何変換法として提案した方法を一般化し,4次元同次座標系に適用したものである.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1989-03-15
著者
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