仮説に基づいた組合せ問題解決機構
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概要
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次世代の知識情報処理システム構築のために、各種の高次推論技術の研究開発が行われている。その中でも仮説推論は、競合する知識や真偽が不明の知識のように不完全な知識を取り扱う事ができる推論の枠組みである。この仮説推論を実現するために必要な要素技術の一つとして、知識の論理的な一貫性を保持するための知識管理の技術がある。知識管理機構の代表的なものとしてはTMSやATMSがある。このうちATMSでは、仮説の組合せに基づいて複数の環境(仮説の集合)が同時に扱われ、論理的な一貫性はそれぞれの環境において管理されている。ここで設計型問題の事を考えてみると、設計型問題は基本的には組合せ問題であり、矛盾のない解候補の組合せを効率的に生成できる事が重要である。また複数の解候補の中から最適な解を容易に選択できる事も考慮すべき事項である。これに対してATMSは、前述のような枠組みを持っており、このような問題の解決に適した枠組みであると考えられる。しかしATMSをそのまま問題解決に適用するには、いくつかの問題が存在する。例えば仮説の数が非常に多い問題の場合、組合せ的爆発が発生する危険性がある。またすべての解を得る場合には適しているが、複数の解の中のどれでも良いから一つだけを求めれば良いような場合には、逆に無駄な処理が増加してしまう。本論文では、ATMSを利用する上で上記のような欠点を補い、組合せ問題の効率的な解決が行えるようにする事を目指した問題解決機構HYPROS(Hypothesis-based problem solver)について報告する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1989-03-15