格助詞と格解釈 : 「で」の議論を中心に
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概要
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自然言語処理においては、文の意味内容を記述する方法として格表現がよく利用されている。ところが一方で、誰もが従う格の体系といったものが定着しているわけではないし、またある言語表現をどの格と認定するかということについても、はっきりしたアルゴリズムがあるわけではなく、困難な場合が多いことが指摘されている。 本稿は、この問題に関して、従来から議論のあった「で」に関連する格関係表現のあり方を中心に考察したものである。 この問題には、次の二つの側面があると考えられる。(1)日本語としての理解の問題。日本語としてはどのような関係として捉えているのか。日本語の助詞は何を指すのか、どのような役割を担っているのか。(2)個別の言語に対してできるだけ中立の(つまり、日本語に依存しない)意味内容表現図式としては、どのような関係として表現するのがよいのか。(1)は日本語文法の問題であるが、必ずしも明快に解明されているとは言えない。このことが、(2)の問題を整理していく上で、見通しを悪くしている原因の一つとも考えられる。(1)でいう助詞の役割は、曰本語としての認知の構造をそのまま反映したものであり、直接(2)でいう格関係のどれかと対応すると考えるべきではない。本槁では、表層の一つの係り受け関係を、ある単一の格関係として表現することにとらわれていることが、格の認定を困難にしている要囚の一つであること、何段かの関係図式を通して表現することにより無理なく適切に表現できる場合が多いことについて述べる。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1989-03-15
著者
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