表取り扱いシステム:Tafel Musik
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概要
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1980年後半以降、構造化文書による文書処理の新しい様々な効用が実用化され、標準化されている。特に、レイアウト指向の構造化文書であるLATEX、ODA等は、従来ワープロ文書中で混在していた文書内容とレイアウト情報を分離した上で、文書内容を構造化し(論理構造)、レイアウト情報の生成規則を記述する(レイアウトスタイル)。構造化文書フォーマッタは、指定されたレイアウトスタイルを文書論理構造に適用して、文書のレイアウトを自動的に行う。このような文書論理構造とレイアウトスタイルの分離は、以下に述べる二つの効用をエンドユーザにもたらす。論理構造・レイアウトスタイルのライブラリ化 個々の文書の内容を表現する論理構造と、特定のレイアウトの方法を指示するレイアウトスタイルを互いに独立に設計することが可能になる。論理編集機能 文書内容を文書の論理的な要素、例えば章・節・段落などに基づいて構造化することにより、文書エディタによる文書作成過程の論理的な視点からの支援が可能となる。しかし、現在の構造化文書のシステム・規格を表に限って考察すると、構造化による効用が必ずしも十分にエンドユーザに享受されているとはいえない.LATEXやODA準拠であるAkaneといった構造化文書システム、ODAの応用文書仕様であるFOD 36においては、レイアウトスタイルによる表のレイアウト生成規則に限界があるので、表論理構造中になお多くのレイアウト情報を規定しなければならない。また、論理編集も列・行といったレイアウトに依存した編集機能しか提供されない。ODA基本規格における表拡張案も部分的な改良に留まっている。Vanoirbeekの研究は、構造化文書中の表論理編集の重要性を説き、レイアウト情報から完全に独立した表論理構造を定義した点で先駆的であったが、表論理構造の表現力が限定的であり、また論理編集・レイアウトスタイルの記述力に関する考察も不十分であった。さて、表を構造化文書中に効果的に取り込むには、1.レイアウト情報から独立した表論理構造と論理構造への作用としての論理操作の定式化2.レイアウト情報を含まない表論理構造から表レイアウトを生成するためのフォーマット技術とレイアウトスタイル記述方法の確立の二つが避けて通れない課題となる。Tafel Musikでは、これら2点に関して考察を行ない、表現力の高い表論理構造と論理操作の定式化、適用範囲が広いレイアウトスタイル記述言語の開発に成功した。更に、本稿で扱う話題の他に、平易な入力方法による表論理構造作成エディタや線形計画法を利用して最小面積のレイアウトを生成する表フォーマッタを設計し、併せて、構造化文書における表の作成からレイアウトまでを一貫して支援するプロトタイプを実装している。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1994-03-07
著者
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