対話における情報提供者と情報取得者とのインタラクション
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概要
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人対人の対話には対面、電話、キーボードなどさまざまな状況がある。このようなコミュニケーションモードの違いによる談話の構造や発話の特徴を比較した研究がいくつかあるが、これらは教示や説明を与える側(提供者)の発話を中心に分析したものや、対話参加者の役割には特に着目しない分析であった。しかし、対話は参加者間の共同作業であり、コミュニケーションモードによる対話の特徴を明らかにするためには、教示や説明を受け取る側(取得者)の発話を積極的に分析し、モードに応じて取得者がどのように会話に寄与しているかを調べることも重要である。道順案内の対話において、取得者B1, B2, B3は提供者Aに対して以下のような反応をしている。<対話例1>A:で、その道をまっすぐいくと右手に本屋さんがあります。B1:はい。B2:はい、右手に本屋さん。B3:ということは、××大学がある方向に行くということですか?取得者B1, B2, B3は提供者Aに対して確認の発話を行なっているといえる。B1はあいづちのみであるが、B2は相手の発話を繰り返すことによって確認しており、B3は相手の発話から推論されることを述べることによって確認している。このような確認行為は共有信念を得るための共同作業として捉えることができ、そのときのインタラクションの深さはB1, B2, B3の順に深くなると考えられる。Clarkはこのようなインタラクションの深さの違いを「会話のレべル」として捉え、Attention, Identification, Understandingの3つのレべルを定義している。本稿では情報取得者と情報提供者の対話を分析し、コミュニケーションモードによって、インタラクションの深さが異なることを示す。具体的には、(1)コミュニケーションモードの違いによって取得者の確認発話におけるインタラクションの深さが異なること、(2)この確認発話に対して提供者がさらに応答を行なう場合、その発話のレべルがコミュニケーションモードや先行する発話に影響されること、を実験結果に基づいて報告する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1994-03-07
著者
関連論文
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- Gerald Gazder & Chris Mellish 著, "Natural Language Processing in LISP", Addison-wesley Publishing Co., A5変形判, 524p., £17.95, 1989
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