局所的相互作用モデル"Celloid"における大域的秩序の出現(第2報) : シアノバクテリアの異質細胞形成をヒントにした改良
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概要
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(人間を含めた)多細胞生物はその名の通り、部品たる細胞が多数集合したものとして存在している。その際に「同一種類の部品だけ(例えば筋肉細胞のみ)集めたのでは個体は構成できない」し、「多種類の部品(筋肉細胞、腿細胞、肝細胞等)が存在しても、それらがバラバラに動作しては個体を維持できない」。故に、多細胞生物においては、細胞の役割分担(分化), および適切な細胞間相互作用が重要なことが判る。実際、生物においては・部品たる細胞は局所的規則に従い動作しているに過ぎない;・にもかかわらず、部品間の相互作用を通じて大域的秩序(個体としての統一性)が出現(emerge)している。筆者は現在、多細胞生物に見られるこのような現象を人工的に再織成しようと、"Celloid for Organismoid"と名付けた研究に取り組んでいる。即ち、部品として細胞もどき(Cell-oid)を設計し、それらを集団として相互作用させることにより、有機体もどき(Organism-oid)を出現させようとする研究である。前回の報告では、この一例として「昆虫等の剛毛発現過程に見られる大域的秩序の出現現象(="LAS(=Largest Available Space)"現象…まわりに剛毛が発現していないところに最新の剛毛が発現する現象)」をとりあげ、その「AL的再構成」のためのからくりとして"box-in-box-type genetic network"と名付けたモデルを導入した。しかし同モデルの欠点として、(1)多種の相互作用物質を要している点; (2)秩序の程度がそれほど高くない点; が挙げられる。本報告では、これらを改良すべく導入された"P&Cモデル"と名付けられたからくりを紹介する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1994-03-07
著者
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