性能解析エキスパートにおける即時解析および時間推論方式について
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概要
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ACOS-6/MVXコンピュータ運用・利用エキスパートシステムのサブシステムの一つである計算機性能解析エキスパートシステムの即時解析機能は、性能に異常が発生した時点でリアルタイムに解析を行う。そのため、現在の状態だけではなくその原因が過去に発生していた場合には過去の状態に対して時間的な推論を行うことが必要となる。本稿では、このような即時的な性能診断方式およびその中で使用する時間に関する推論方式について述べる。即時性能解析とは、システム内の性能を監視し異常が検出されればその原因を即時的に診断するというものだが、監視を行うためにはシステムに常駐する必要があり、問題がない時には常駐することでシステムに負担をかけず、異常が発生した時には早急に診断を下さなければならないという制約がある。本システムではこれらの制約を満たすため、処理を監視・確認・診断という三つのレベルに分け、異常を直ちに検出し、本当に問題があると確認された場合にのみ複雑な診断を行うように制御している。一方、専門家が性能問題を診断する際には、過去の性能データを用いて時間に関係する推論をすることがよくある。例えば、・I/O queue fullのエラーメッセージが出力されていたか。・原因と思われるファイルリストアのジョブが流れていたか。・ある時間にジョブがいくつ実行中であったか。これらの知識が必要なのは、計算機の性能が、時間と共に変化する計算機内部の様々な構成要素の因果関係によって変化しているためである。したがって、リアルタイムに得られる性能データを基に異常の原因を診断する即時性能解析機能では、異常が表面化した現在の性能データに対してだけでなく、過去のデータに対して時間的な推論を行う必要がある。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1988-09-12
著者
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