文脈理解における解釈の情報量について
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概要
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自然言語を扱うシステムでは,文の意味内容を正確に把握する能力が重要である.ところが,文の持つ意味は,単独では曖昧であり,文脈に強く依存している.例えば,指示名詞や省略等によって情報が陽に明示されないことも,曖昧さを生じさせる原因の1つである.文脈を理解するためには,文の意味の曖昧性をそのままにして処理を進めるわけにはいかない.すなわち,複数の解釈が可能な場合には,文脈と照し合せてなんらかの意味で最適な解釈を選んでいくことが必要である. 会話はより少ない労力で,より多くの情報を伝達しようとする行為である.これは例えば,"協調的な会話では必要以上に情報を詳しく述べない"というGriceの"量の原則"も暗示している.この仮定に基づけば,構文または意味的に決定できない解釈は,情報量の大きい解釈を選ぶことが妥当である.そこで解釈に対して,評価尺度を設定し,その尺度に従って解釈を決めていくことが考えられる.大須賀は知識表現の情報量を定義し,知識表現の持つべき性質について考察している.しかし推論規則を含む場合については考察されていない.文脈理解も, 理解を通じて聞き手の持つ知識の曖昧性を減少させていく過程と考えられる.またこの過程では推論規則の果す役割は重要であると考えられる.本稿では,解釈を選ぶ評価尺度として,情報量を導入し,解釈を決定する方法について考察する.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1988-09-12
著者
-
住田 一男
(株)東芝 研究開発センター
-
天野 真家
(株)東芝 総合研究所
-
天野 真家
(株)東芝
-
住田 一男
(株)東芝研究開発センター 知識メディアラボラトリー
-
住田 一男
(株)東芝 総合研究所
-
浮田 輝彦
(株)東芝 総合研究所
-
浮田 輝彦
(株)東芝関西研究所
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