オブジェクト指向に基づくOSのモジュール化について
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概要
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オペレーティングシステム(OS)の設計に際して、次の2つの問題が指摘されている。(1)構造モデルが明確でない。OSでは構造モデルとして階層モデルが提唱されている。例えば、ファイル管理はプロセス管理の上位にあるとし、下位からは上位にある手続きを呼出すことはないとした。しかし、バッファ管理の位置がシステムによってまちまちであったり、障害処理では階層開係は破られている等、実際のOSは階層モデルと相入れない面がある。(2)客観的なモジュール設定基準がない。障害管理のように処理の段階に対してモジュールが設けられたり、ファイル管理のように制御対象に対して設けられたり、モジュール設定基準が一貫していない。これらの解決に向けて、オブジェクト指向という観点からモジュール設定基準として「個々の制御対象と制御対象の集合をオブジェクトとみなし、制御対象の種類毎にモジュールを設定する」と規定し、オブジェクト指向でいうモジュール記述法(型を定義し、その型に作用できる手続きを同一のモジュール内に記述する)に従ってUNIXを再構成した。また、メッセージパッシング、継承(インヘリタンス)の実現法を考案し、通常オブジェクト指向システムで問題とされる性能低下を防いだ。この結果、以下の事項が明らかとなった。・全域変数がないインタフェースの明確な構造ができた。・性能の低下は5%程度であると評価できた。・構造モデルは階層モデルではなくモジュール間で互いに呼合う水平モデルとなった。本稿ではこれらについて報告する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1986-10-01
著者
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