計算グラフを用いた数値計算のための数式処理システム
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概要
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数理的な問題を解くことは、問題を定式化し、その解の満たす方程式あるいはなんらかの関係を表す式を導出することに始まる。理論的な問題では、これら方程式あるいは関係を表す式自体が得られればよい。このような目的にはREDUCEなどの数式処理システムはかなり強力な道具である。しかし、数値的な解を求める必要がある問題では、さらに数値計算のための計算式を導出し、それを用いて数値計算をしなければならない。このような場合、REDUCEなどを用いて導出した式は手計算で求めた式に比べて一般には非常に効率が悪い。このように数式処理と数値計算の間の距離は大きく、これらの間の界面が議論されるようになって来た。このような界面の一つとして偏導関数の計算がある。数値計算のための種々の算法には関数とその導関数の値を必要とするものが多い。これらに対しては、数式としての導関数を得にくいことから、数値微分法を利用したり間接的に導関数値を利用する算法が工夫されている。最近、数値計算の過程を表す計算グラフを用いた偏導関数の自動計算法が提案され、関数自身を計算する手間の定数倍の手間で正確な偏導関数値を求める方法が示された。また、この方法を用いて得た偏導関数値を利用する算法も開発されている。この偏導関数の自動計算法を利用するシステムとして、関数をFORTRANの式あるいはプログラムで入力するプリプロセッサ方式のシステムが作成されている。本文では、数式処理と数値計算の界面を考えるという立場から、"計算グラフとして表される数値計算過程の操作"という形で数式を扱う数式処理システムを試作したので報告する。このシステムにおいて、偏導関数の自動計算法は計算グラフのある拡張操作として実現される。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1986-10-01
著者
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