「複数の心」との対話 : 日常的なコミュニケーションの場の創出

概要

論文の詳細を見る
「われわれは複数の心を持っている」-われわれの心は、各々性質の異なる心の要素の集合であるという考え方がある。これまでの対話システムでは、人間とエージェントが1対1で対話を行っていたため、人間がエージェントに対して常に関わっていなくてはならない。そのため、人間は対話システムに対してある種の切迫感を感じることがあった。これはある意味で非日常的なコミュニケーションであるといえる。本稿では、人間とエージェントとの対話を現実の人間同士のコミュニケーションに限りなく近づけるために、人間とエージェントとの間の相互作用の中から、日常的なコミュニケーション、すなわち「日常的なおしゃべりの場」を創り出し、それを共有するというコミュニケーションの新しい視点を対話システムに与えることを考える。また、自律エージェントに対する人間の関与をできるだけ抑えるという視点から、「複数の心」のメカニズムに着目し、各々異なる性質を持った複数の自律エージェントとのインタラクティブシステムを提案する。
一般社団法人情報処理学会の論文
1996-03-06