メタノール資化性, Hyphomicrobium属細菌の脱窒素作用
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概要
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メタノールを唯一の炭素源として, 生長と脱窒を示す53-49株を土壌中より分離した.本菌は楕円形で長さ1.2〜1.7 μm.幅0.8〜1 μm.一端より長さ4〜8 μmの柄を出し, 柄の先端より出芽して増殖した.一本の鞭毛を持ち運動性を有す.Gram染色はネガティブ.炭素源の資化性は, 好気-嫌気両条件下でCH_3OH, C_2H_5OH, CH_3COOH, CH_3NH_3,を資化したが, リンゴ酸, マロン酸は嫌気条件でのみ資化した.グリセリン, MCHO, HCO_3^-, HCOOH, Citrate, tartarate, oxalate, d, l-glycerate, glucose, sacchalose, urea, polypepton, yeast extractは, 両条件下で資化しなかった.好気的条件下でメタノールを炭素源としたとき, 利用し得る窒素源として, NO_3^-, CH_3NH_2,NH_4^+が認められ, NO_2^-, CH_3CONH_2,urea, aspartateは 利用し得なかった.HCONH_2は長時間の培養後増殖が認められた.本菌はNO_3^-が存在する時, 嫌気的条件でメタノールで脱窒を行う.比増殖速度は, 好気条件下, メタノールを与えた時0.16hr^<-1>であった.培養条件によるNO_3^-の還元活性の比較を行った.また, 脱窒培養条件について検討した.初期に系内のO_3を消費して, <DO>^^^-が0.2 ppm以下となってから脱窒が始まった.その時Redox potentialも負側に大きく変化した.N_2の発生とともにNO_3^-, CH_3OHの減少が見られ, 増殖が認められた.培養初期に一時的にNO_2^-が認められたが培養経過中は少量であった.NH_4^+の蓄積は認められなかった.培養中の脱窒と菌体生成との物質収支式として次の式が得られた.1.2CH_3OH+NO_3^-+H^+=0.10C_5H_7O_2N+0.45N_2+0.72CO_2+1.7H_2O最も活発な脱窒条件の時には次の式が得られた.1.06CH_3OH+NO_3^-+H^+=0.06C_5H_7O_2N+0.47N_2+0.77CO_2+1.5H_2O NO_3^--N : 1gを脱窒するのに要するメタノール量は, 2.4〜2.7 gで, その時生成する菌体量は, 0.5〜0.8gであった.
- 1976-12-25
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