L-グルタミン酸醗酵からL-グルタミン醗酵への醗酵転換におよぼす無機イオン類の効果 : L-グルタミン酸醗酵からL-グルタミン醗酵への醗酵転換(第2報)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
L-グルタミン酸醗酵からL-グルタミン醗酵への転換は培養条件の変更によっていちぢるしく促進される. L-グルタミン生成能のすぐれた菌株としてCorenebacterium glutamicum KY9609を使用し, 培地中に高濃度の塩安を含ませること, 菌体生育後のpHを微酸性に保ちかつ適当なビチオン濃度を選ぶことによってL-グルタミン酸はほとんど生成しなくなり, L-グルタミン生成の顕著な増加が認められ, 同時にN-アセチル-L-グルタミン(N-AGM)の生成も増加する. 肉エキス, コーンスティープリカーなどの天然栄養源の添加によってN-AGMの生成が抑えられて, L-グルタミンの生成が増加した. これら粗原料の灰分にも同様の効果が認められたので, 金属イオンの影響をしらべたところ, Zn^<++>にこの効果のあることが判明した. 多数の金属イオンの効果をZn^<++>と比較したが, Zn^<++>と同様の効果を示すものはまったくなかった. Zn^<++>の存在下では, NiとCrにL-グルタミンの生成促進効果が認められた. Zn^<++>を添加した培地で硫安と塩安の効果を比較した. 充分量のZn^<++>存在下では, いずれのアンモニウムイオン源を用いても, N-AGMはほとんど生成しなかった. しかし硫安を用いた場合は, その濃度を可及的に高めても, L-グルタミンとL-グルタミン酸の和の40〜50%はL-グルタミン酸であった. 硫安を使用した培地でのCl^-源の添加効果を検討した. Cl^-源としてNaCl, KCl, CaCl_2などを用いたが, いずれの場合もCl^-イオン濃度の増加に比例してL-グルタミン酸が減少し, 同時にL-グルタミンが増加し, Cl^-約0.7mole/lの添加でL-グルタミン酸の生成が認められなくなり, L-グルタミンの生成は最高となった. 以上のような事実から上記菌株を用いZn^<++>の存在下で塩安濃度, 培養pHおよびビオチン濃度などを調節することによって発酵液中に生成する全グルタミン酸誘導体のほとんど全部をL-グルタミンにすることが可能となった. このような条件下では40g/l, 対糖30%のL-グルタミンが生成する.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1975-08-25
著者
関連論文
- L-グルタミンおよびN-アセチル-L-グルタミンの発酵生産と発酵転換機構
- 酵母によるn-パラフィンを原料とするクエン酸醗酵
- 228 酵母によるn-パラフィンからのクエン酸の生産(特に,クエン酸とイソクエン酸生成比変動要因の解析について)
- 6.酵母の耐アルコール的増殖醗酵因子
- 24. 酒精醗酵試験に於ける酵母の耐アルコール性因子について(大阪醸造学会第12回講演会研究発表要旨)
- 232 Streptomyces gannmicicusの生産する酸性ウリカーゼ
- 344 Corynebacterium glutamicumのL-グルタミン合成酵素およびN-アセチル-L-グルタミン合成酵素の活性発現に対する諸物質の影響について
- 412 Corynebacterium glutamicum の代謝転換におよぼす塩化アンモニウムの作用効果
- L-グルタミンおよびN-アセチル-L-グルタミンの定量法と転換醗酵によるL-グルタミン生産条件の検討〔英文〕
- 201 N-アセチル-L-グルタミン醗酵に関する研究 : L-グルタミン酸醗酵からN-アセチル-L-グルタミン醗酵への転換
- L-グルタミン酸醗酵からL-グルタミン醗酵への醗酵転換におよぼす無機イオン類の効果 : L-グルタミン酸醗酵からL-グルタミン醗酵への醗酵転換(第2報)
- L-グルタミンおよびN-アセチル-L-グルタミンの定量法と転換醗酵によるL-グルタミン生産条件の検討 : L-グルタミン酸醗酵からL-グルタミン醗酵への醗酵転換(第1報)
- L-グルタミン酸生産菌によるL-プロリンの生産
- 243 環境要因によるCorynebacterium glutamicamの代謝転換 : L-グルタミン酸醗酵からL-グルタミンまたはN-アセチルL-グルタミン醗酵への転換