Penicilluim chrysogenumのペニシリンG高生産株の培養における鉄の影響
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概要
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Penicillium chrysogenumのペニシリンG高生産変異株を用いてペニシリン生産に対する鉄の影響を調べた結果, 6μg/mlのFeSO_4・7H_2Oでは生産に対する阻害はなかったが, 60μg/mlでは30%, 300μg/mlでは90%の阻害が認められた.これらの濃度では菌糸増殖に対する阻害はなかった.次いでカーボンスチール, ステンレススチールの部品を有する14lファーメンターを用いて, 材質の効果を検討した.培養液の容量に対するカーボンスチールの表面積を"iron index"と定義し, 攪拌軸, 攪拌翼を適宜ステンレススチールまたはカーボンスチールを用いることにより"iron index"を変化させたところペニシリン生産に対する阻害度と相関関係にあった.すなわちindexが1.0(cm^2/l)では5%, 2.5では30%の阻害があり, それぞれ培養液中の鉄含量を分析したところ25μg/ml, 60μg/mlであった.鉄は速かに菌糸中に取りこまれ、tropophaseでは全鉄含量の80%が取りこまれ, これはidiophaseで除々に培地中に溶出した.ここで用いた高生産株P. chrysogenum M-58は低生産性の原株Q-176で報告されているよりもペニシリン生成系酵素が鉄の毒性に対してより感受性であると考えられる.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1975-12-25
著者
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Hepler L.
Wyeth Laboratories Incorporated
-
Pan C.H.
Wyeth Laboratories, Incorporated
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Elander R.P.
Wyeth Laboratories, Incorporated
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Pan C.h.
Wyeth Laboratories Incorporated
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Elander R.p.
Wyeth Laboratories Incorporated