NAD(P)の酸化還元バランスからみた塩添加培地中での醸造酵母の異常醗酵の機構について : アルコール醗酵酵母の代謝に対する塩濃度の影響(第5報)

概要

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高濃度塩存在下における醸造酵母の異常醗酵はNeubergの第4醗酵形式の変形であり, 第4醗酵形式のpyruvateが次の式に示すように, 醋酸や2,3-ブタンジオールなどに変換されたと考えることができる.また, 異常醗酵生産物はNAD(P)の酸化還元反応と共軛しながら互いに影響し合って蓄積され, それらの実測値は理論値とほぼ合致することを確認した.(x+y)Glucose+(x/2+y/4)H_2O→(x+y)Glycerol+y/22,3-Btanediol+(x+y)CO_2+(x/2-y/4)×Ethanol+(x/2+y/4)Acetic acid高濃度塩存在下における酵母はアルコール脱水素酵素の阻害によりまず最初にアセトアルデヒドを蓄積する.次にアセトインが増加するが, これはピルビン酸からアセトインへの反応に関与する酵素系の生産の増大ばかりでなく, この関連酵素系が菌体内ATPの減少(J. Ferment. Technol., 50,758 (1972))によって活性化されることに起因することを観察した.そして塩添加培地中に一旦蓄積されたアセトアルデヒドはNADP共軛の下に醋酸とエタノールに変換される.アルコール脱水素酵素の阻害によりアセトアルデヒドとともに蓄積される還元型NADはジヒドロキシアセトンホスフェートからグリセリンを生成することにより酸化型NADに変換されると考えられる.一方, 蓄積されたアセトインは過剰の還元型NADの一部を使って2,3-ブタンジオールに変換する.NADとNADPの酸化還元反応と共軛するこれらの反応系の関係をまとめると, 次のようになる.[figure]
社団法人日本生物工学会の論文
1975-12-25

NAD(P)の酸化還元バランスからみた塩添加培地中での醸造酵母の異常醗酵の機構について : アルコール醗酵酵母の代謝に対する塩濃度の影響(第5報)

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