醗酵プラントの設計ならびに操業条件の最適化
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
著者等は培養から製品の回収, 精製ならびに廃棄物処理まで含めた前醗酵プロセスの最適化を目標に, その全段階として醗酵プロセスを構成する培養, 濾過, 抽出工程におけるそれぞれの最適化問題(サブ問題)の定式化をおこなってきた. 本研究はこれら一連の定式化の総括として各工程におけるサブ問題を統合しプロセス全体を最も経済的に設計・操作するための計算手順の作成をおこなった. 即ちfeasible decomposition methodならびにmodified complex methodを導入し2レベルからの収束計算によって最適な解へ逐次的に到達させてゆく手法の醗酵プロセス設計問題への適用をこころみた. この結果, 不等号制約条件を有し, かつ11コの独立変数から成る抗生物質生産プラントの最適設計問題の解を短時間で得ることが出来た. この計算例では菌体分離, 溶剤抽出ならびに晶析などの単位操作から構成されるプロセスにおいて特に最適な回分培養時間が存在すること, 濾過収率を高めるためにケークの洗浄に多量の水を使用することはそれにつづく抽出, 晶析工程の負荷を増大させ全体としては経済的でないことなどがあきらかとなった. 廃棄物の処理はプラント設計上重要な問題であるが, ここで提案した最適化のための計算手順のひとつの応用として, 菌体分離工程において生ずるケークの焼却を含めた場合の全醗酵プロセスの最適設計をおこなった. この結果, ケークの焼却には膨大な経費が必要であるためケーク処理を考慮しない場合の最適値に比較して最適点が濾過器の容量を増大させ, 濾過助剤を減少させる方向に移動した. 醗酵プロセスの研究開発段階で生産培地の工業的適否の判断が要求される場合が多い. このような工業生産培地の検討にもここで報告した計算手順の適用が可能であり, 培養から目的生産物の回収・精製に至るまでのプロセスを最適に構成した上で, いずれの培地が実際の適用にあたって有利であるかを極めて短時間にしかも総合的に比較検討することができた. ここで作成した最適化のアルゴリズムには汎用性が有り, かつ時間に最適点へ収束するので, 種々な醗酵プロセスへの適用が可能でありかつ多くの場合について総合的な観点から比較検討し最も効率的・経済的な生産プロセスの検索に利用できると考えられる.
- 1975-10-25
著者
関連論文
- 119. 代謝生産物による増殖および代謝阻害
- 111 Bacillus属細菌のpenicillinase遺伝子の濃縮
- 241 富栄養化に関する基礎的研究(第11報) : 生物膜に関する研究
- 119 活性汚泥における原生動物の研究(第9報) : 原生動物の増殖速度におよぼす凝集剤の影響
- 203 混合培養における原生動物, 細菌, 基質の3者関係のシミュレーション
- 141 活性汚泥における原生動物の研究(第8報) : 原生動物の増殖速度におよぼす重金属の影響(その1)
- 325 BODにおよぼす原生動物の影響
- 324 活性汚泥における原生動物の捕食作用 第二報
- 323 活性汚泥における原生動物の捕食作用(第1報)
- 155 活性汚泥から分離したVorticella microscomaの培養特性
- 154 活性汚泥から分離したVorticellidaeの食性
- 333 Escherichia coli組換えプラスミドによるL-トリプトファンの生産 : 晶析発酵法
- 153 glyA-trp組換えプラスミドによるトリプトファンの生産
- 347 "ハイブリッドプラスミド"に関する研究 : (第5報)"ハイブリッドプラスミド"によるトリプトファンの生産性
- 153 Bacillus属細菌のpenicillinase構造遺伝子のクローニング
- 110 "ハイブリッド"プラスミドの形質発現と安定性 (第3報)
- 227 "ハイブリッド"プラスミドの形質発現と安定性(第1報)
- 226 Bacillus licheniformisによるバシトラシン生産におよぼすテンペレートファージの影響
- 225 Bacillus licheniformis ATCC 1I0716 のテンペレートファージについて
- 221. 化学光計量法による Rhodopseudomonas spheroides の増殖収率の算出
- 320 Azotobacter vinelandiiの非定常増殖過程のシミュレーション
- 417 Azotobacter vinelandaiiの非定常域におけるAldolase生成のkinetics
- 403 Trichoderma sp.のfellulase生成におよぼす糖濃度の影響
- 268 Trichoderma sp.培養液から得たセルレース粗酵素粉末に関する2.3の実験
- 210 糸状菌の増殖とセルラーゼ活性に関する予備的検討
- 240 富栄養化に関する基礎的研究(第10報) : 野外人工水路による二次処理水の放流効果に係る実験(その1)
- 239 富栄養化に関する基礎的研究(第9報) : 浅い汚濁河川におけるりん収支(その2)
- 144 富栄養化に関する基礎的研究(第7報) : 汚濁河川におけるりん収支
- 118 富栄養化に関する基礎的研究(第6報) : 藻類の分解
- 醗酵プラントの設計ならびに操業条件の最適化
- 446 Rhodopseudomonas spheroidesの増殖に対する光及び酸素の影響
- 培養液の溶剤抽出に関するシミュレーションと最適化 : 生産物回収工程の全最適化への試み
- 305 醗酵プロセスの最適化(第7報) : 全プロセスの最適化
- 304 醗酵プロセスの最適化(第6報) : 回収・精製工程の最適化
- 培養液の濾過に関するシミュレーションと最適化
- 酵素プロセスの最適化へのFeasible Decomposition MethodならびにModified Complex Methodの適用
- 330 醗酵プロセスの最適化に関する研究(第4報) : サブ問題の定義とその2.3の数値計算例
- 329 醗酵プロセスの最適化に関する研究(第3報) : 醗酵プロセスの最適化に関する一般的考察
- Modified Complex Methodの醗酵プロセスにおける通気撹拌システムの最適化問題への適用
- 219 連続殺菌システムの最適化について
- 102. 熱殺菌に関する研究 : (第7報) TDT曲線の解析ならびに加熱生残細菌胞子の2, 3の特性について
- 49. エアレーションにおける表面活性剤の影響 : (第2報)気泡の大きさの影響について(平成38年度 日本醗酵工学会大会講演会研究発表要旨)
- 49. エアレーションにおける表面活性剤の影響 : (第2報) 気泡の大きさの影響について
- 39. エアレーションにおける表面活性剤の影響(第1報) (昭和37年度 日本醗酵工学会大会講演会研究発表要旨(40周年記念))
- 50. 通気培養槽における攪拌所要動力および物質移動係数の測定 : (第1報)特に非ニュートン流体について(平成38年度 日本醗酵工学会大会講演会研究発表要旨)
- 50. 通気培養槽における攪拌所要動力および物質移動係数の測定 : (第1報) 特に非ニュートン流体について
- 321. 高粘性液における気体分子拡散係数について
- 317. バクテリアの自己運動と物質移動 (第1報)
- 201 メタン利用菌のEnergetics:
- 406. 石油醗酵に関する研究 : (第四報) 石油醗酵における動力学および制限基質の油滴の粒径の推定
- 319. 繊維の周りの空気流による菌体捕集について : (第1報) 単繊維の場合
- 145 富栄養化に関する基礎的研究(第7報) : 多摩川の富栄養化
- 402 呼吸商を制御した流加培養による酵母生産
- 302 酸素制限ケモスタットにおけるAzotobacter vinelandiiの酢酸代謝
- 333. 微生物の増殖速度過程に対する統計的解析
- 462 酵母懸濁液の流動特性に及ぼす塩の影響
- 546. 高濃度微生物散液の流動特性
- 460 音速による微生物の圧縮率の測定
- 441 Rhodopseudomonas spheroidesによる酢酸の資化 : 暗・好気, 明・嫌気系における増殖特性の比較
- 254 微生物生態系における被食者・捕食者関係
- 228 Rhodopseudomonas spheroidesによる酢酸の資化 : 暗・好気,明・嫌気系における比較
- 416 Rhodopseudowenois spheroidesの暗・好気培養におけるエネルギー代謝
- 211 暗・好気下におけるRhodopseudomonas spheroidesの連続培養
- 140 富栄養化に関する基礎的研究(第3報) : 汚濁水域における自浄作用とDO収支
- 139 富栄養化に関する基礎的研究(第2報) : 生物処理水の藻類生産力
- 138 富栄養化に関する基礎的研究(第1報) : 汚濁水域における藻類の現存量と増殖速度
- 342 醗酵生産過程の最適化(予備的考察)
- 301 絶対好気性バクテリアAzotobacter vinelandiiのenergetics
- 327 微生物懸濁流の粘度特性
- 308 酵素制御下におけるAzotobacter vinelandiiの酵素活性の挙動