Monascus sp. F-2の強力色素生産変異株の誘発分離
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概要
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前報で報告した深部培養に適する, 強力色素生産株Monascus sp. E-2を, 更にN-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine (NTG) 3.6mg/mlの濃度で90分間処理した後, filtration enrichment methodと連続スクリン法にて, 変異株R-1,R-2,S-2,S-11,P-10,W-12,およびW-13の7株を分離した. この7株を用いて, 深部培養法で色素生産力を検討した結果, R-1とS-11が最強力色素生産株であった. S-11を米を主要原料とした培地で, 32℃, 3日間培養し, そのbrothの色素集積量を測定した所, OD_<400 nm>で, 144.93を示し, OD_<500 nm>では92.33を示した. この値は, 原株よりも色素生産力はそれぞれ4.9と3.0倍に増している.変異で色素生産力がかなり増し, 形態的特性も変るので, 色素生産力と形態的特性の変化間に, 何か密接な関連性が存在するのではないかと仮定して, 検討を加えたが, ついに一定の関連性の存在を見出すことが出来なかった. 一般的に強力色素生産変異株のgrowth原株や色素生産力の弱いもしくは無い変異株に比べて, かなり悪く, conidiaとascosporeの形成について, 強力色素生産株R-1とS-11の間に大きな差異が認められ, R-1のsporulationは僅か原株の1/2ないし1/3だけであるが, S-11では原株と比べて, 別に差異を認めなかった.もう一つ特に取り上げて検討する価値があるのは, Monascus sp. F-2のNTG対抗性である. AspergillusとRhizopusの黴類は0.8mg/mlの濃度で10〜60分間作用すると死滅率が90%以上に達するが, Monascus sp. F-2に対して, 同じ結果を得るには, NTGの濃度を3.6mg/mlに増し, 時間を90分間に延長しなければならなかった.
- 1973-10-25
著者
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