糸状菌のタンナーゼに関する研究 : (III)Diisopropylfluorophosphate によるタンナーゼの阻害
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概要
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前報において著者らは, タンニン培地に生育する Aspergillus flavus がその菌糸体内に強力にタンナーゼを生成することを見出し, 本酵素を菌糸体抽出液より精製した.また本酵素は分子量190,000の酸性糖蛋白質であることを明らかにした.本報においては種々の阻害剤を用いて本酵素の活性基について検討し, 本酵素がセリンを活性中心とするエステラーゼの一種であることを見出したのでその実験結果について報告する.本酵素は金属キレート剤, SH試薬によって阻害されず, diisopropylfluorophosphate (DFP) によって顕著に阻害された.DF^<32>P を用いて阻害機構を検討した結果, 本酵素は1分子当り1分子の^32P をとり込み, ほゞ完全に失活し, 失活にともなって phosphoserine を生成した.よって本酵素は1分子当り1分子の活性セリンを含むものと考えられる.さらに本酵素とズブチリシン, キモトリプシンとの活性セリン近傍のアミノ酸配列を peptide map 法によって比較した結果, ズブチリシンに近似していることが明らかになった.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1971-03-25
著者
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