ヒノキ漏脂病の病原学的研究 : 患部形成に関与する糸状菌についての研究の経緯
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ヒノキ漏脂病の患部形成に関与する糸状菌についての既往の研究成果を整理して議論した。患部組織からは子のう菌類亜門, 盤菌綱に所属する3種の糸状菌, Cistella japonica, Pezicula lividaおよびSarea resinaeがしばしば分離された。Ci. japonicaのヒノキ樹幹への接種によって, 長期間多量の樹脂を流出し, また形成層が壊死して樹幹が扁平になる自然発病患部と同様な患部が形成された。また, 発病患部からは接種菌が再分離された。この結果はコッホの原則を満足させ, Ci. japonicaが本病の病原菌であることを証明した。P. lividaの接種では本病に特徴的な漏脂性の患部は形成されなかった。S. resinaeの接種ではその病原性はほとんど認められず, 一方本菌の好樹脂性が確認された。これらの研究経緯から, 本病はCi. japonicaを病原菌として既往の病因として仮定された環境要因を誘因として研究が推進されることを提案する。
- 日本森林学会の論文
- 2000-11-16
日本森林学会 | 論文
- 渓流の有機物をはかる(森をはかる その33)
- 「森は本当に海の恋人?」-森・川・海の生態的関係を探る-セッション報告(第116回日本森林学会 テーマ別セッション)
- 流域の視点から見た水辺域の変化と管理(水辺林 森林-川-海をつなぐもの)
- H^+収支を用いた森林植生が酸中和機構に与える影響の評価
- 森林の成立に伴う流域内酸中和機構の変化 : 植生と土層厚が酸中和機構に与える影響