民有林の林地サイズと機械化について
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概要
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民有林の零細経営は機械化の面からも大きな問題といえる。筆者らは栃木県日光市小来川地区と静岡県磐田郡竜山村の民有林を調査し、特に林地のサイズと機械作業の関係といった技術的側面を中心にこの問題を検討してみた。なお、本研究は昭和38、39年度文部省綜合研究費(林業における経営投資の経済効果 主任東大嶺教授)によるものである。1)現在の作業規模は伐出事業の例からみると1回0.5haで、1林地の半分しか作業していないことになる。2)林地の平均面積は両地域とも約1haである。林地の大きさは地利によるところがひじょうに大きく、集落より隔たるにつれ、また林道よりはずれて奥へ入るにつれ面積を増している。道路近傍には小面積林が多く存在し機械化に対する大きな障害となっている。3)隣接同齢林を一括して1林地と考えると作業量は単独林地の倍近くにはふえる。これが協業化により得られる最大の作業量といえる。なお、機械作業の観点からは林地は面積とともにまとまりのある形を持つことが必要であり、筆者らは林地に内接する最大円をインデックスとして作業量の増加程度を判定することとした。4)2林地が連続すると2倍強の作業量が期待できる。また3林地連続なら2-4倍、4林地以上連続なら5-9倍というように機械化に適した条件となる。ただし孤立林地の数も1/3から1/2以上と多いことに注意せねばならない。5)完全なる協業を仮定しても1作業の量は中〜大型機械には不足である。これは国有林の集材作業と対比してみるとよくわかる。民有林の機械化には協業化を前提とした上で機動性の高い小型機械と林道の密な配置が必要と思われる。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1965-05-25
著者
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