アカマツ幼齢造林地における立地別肥培試験
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概要
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立地条件と肥培効果との関係を生長量のみならず, 土壌の性質や, 葉分析値などから検討するために, 土壌条件の異なるアカマツ新植造林地において施肥量試験をおこなった。その5年間の成績である。1.わずか1回だけの施肥でも, 無肥量区に対する重量指数でmin 116〜max 195,平均162と顕著な肥効をしめした。肥効のあらわれ方は土壌壌条件のよい, そして施肥量の多い試験区ほど大きかった。2.施肥後の土壌変化はC/Nの低下となってあらわれた。その傾向は乾性土壌の分布する尾根型と中腹斜面型地形区でいちぢるしかった。3.T/R率は施肥の有無にかかわらず一定となり, 肥培木根系は地上部の旺盛な生長につりあって発達することがわかったが, 幼令林での肥培効果の発現やその持続については, 土壌性質の好転のほかに, このような林木自体の"生育の相関"いわゆる二次的効果が大きく作用するものと思われる。4.生育休止期に採取した当年生主軸頂葉の分析結果から, チッソ, リンサン含有率と樹高生長とのあいだには高い相関がみとめられ, 有意な直線回帰の存在することがわかった。そして, チッソ含有率については肥沃度の高い地形区ほど, また施肥量の多い試験区ほどこの回帰直線上の上位をしめることがわかった。したがって以上のことから, 本調査地のような立地条件下では, 施肥量をさらに多くして葉内養分濃度のレベルアップとその保持をはかるならば, 比例的により多くの生長量を期待できるものと考えられた。5.葉のチッソ含有率と土壌の透水係数との2変量を使用した重回帰式によって, 樹高生長量をさらに精度を高めて推定することができた。
- 日本森林学会の論文
- 1966-05-25
著者
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