アカマツにおける枝無し連続生長の誘導
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概要
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アカマツは自然状態では長日条件下でも連続生長せず, 生長を停止してしまう。これは, 生長(節間伸長)と分化(葉原基形成)の間に相互抑制が存在するためである。そのため, 生長がさかんなときは葉原基形成が抑制され, 葉原基形成がさかんなときは生長が抑制される。そこで, この両者が共存できる条件があれば, 連続生長が可能であると考えられる。ここで用いたアカマツは, 18〜20時間日長で生長と分化が最高活力の50%ぐらいで共存が可能であると考えられる。事実, 20時間日長で, 2年4か月間, 7本が枝無し連続生長を, 3本は1回だけ生長を停止し側枝を形成したが, それ以外は枝無し連続生長をした。アカマツの側芽形成は, 急速な生長によって, 生長と分化のバランスが大きく乱れ, 茎頂部に存在する葉原基を展開してしまって生長停止するときみられる。すなわち, 茎頂部に常に未展開の葉原基が存在するとき枝無し生長がみられる。熱帯地方で枝無し生長がみられる最大の原因は, より高緯度地方から移されたため, 12〜14時間日長で, 生長と分化のバランスがとれた連続生長をするためと考えられる。
- 日本森林学会の論文
- 1986-10-25
著者
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