山地小流域の基底流出逓減特性(II) : 蒸発散量が流出逓減に与える影響
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概要
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前報で求められた飽和-不飽和浸透流の基礎式を簡略化した基底流出逓減式に蒸発散項を加え, 山腹斜面から生ずる基底流出に与える蒸発散の影響を検討した。蒸発散の影響は無次元化された蒸発強度E_*によって定まり, E_*=0のとき逓減係数がしだいに小さくなる逓減曲線が生ずるのに対し, E_*が大きくなると途中で一度緩くなった逓減曲線の傾きが, 再び大きくなるS字状の逓減曲線となる。E_*が比較的小さい範囲では, この中間型として広い流量範囲にわたって逓減係数がほぼ一定となり, 片対数紙上で直線に近い逓減曲線となる。実次元表示では, 蒸発散が0のとき, 逓減係数は飽和透水係数, 斜面勾配の正弦に比例し, 斜面長と有効間隙率に反比例する。蒸発散の影響は, 斜面長に比例, 土層厚, 飽和透水係数, 斜面勾配の正接に反比例する関係で生ずる。これらの結果は, 滋賀県南部の風化花崗岩山地にある三つの小流域の観測結果と対応するものであった。また, 他の2流域の逓減曲線についても本理論による説明がなされた。
- 1984-06-25
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