15年生天然アカクロマツOP家系の生長および幹形特性に関する主成分分析
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概要
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天然アカクロマツ(F_n : F_1ではないそれ以上の雑種世代を意味する)のOP家系の実用性を検討するため, 次代検定林を設定した。15年生の成績を主成分分析により総合・客観的に評価した結果次の知見を得た。(1)第3主成分までの寄与率は約80%に達し, これだけで全情報の大部分を要約できた。z_1,z_2,およびz_3は各, 生長状態, 幹形, および二叉性の因子であることが明示された。(2)因子負荷量より特性値の分類が可能となった。(3)スコアの散布図と分散分析より次のことが判明した;雑種群は生長に関しては"雑種弱勢"を, 幹形質に関しては変異が増大することより, 実用性はほとんどない。アカマツはクロマツより二叉性は有意に高いが, 生長には有意差はない。生長は立地条件の影響を最も受けた。z_1においては, 家系, 反復, および斜面位置に著しい有意性が, 反復×斜面位置間にさえ若干の有意性が認められた。このことより, 山地における試験設定に有意義な示唆が与えられた。二叉性は立地の影響をほとんど受けない, 遺伝性の高い特性のようだ。(4)天然アカクロマツの雑種弱勢現象は遺伝生態学上, 浸透交雑阻止のための隔離機作の一つである"雑種衰退"とも想像される。
- 1980-12-25
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