森林土壌の土壌水分に関する研究(III) : 乾性褐色森林土(B_A型土壌)の水湿状態
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概要
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B_A型土壌(マツタケ試験地)の水分環境を明らかにする目的で, テンションメーター法によって長期間にわたる土壌水分のpF価の変動を測定し, 同時に観測された降雨量, 気温および地温と土壌の水湿状態との関係について検討を行った。また, マツタケ発生促進のために行われた林地へのかん水が, 土壌の水湿状態に及ぼす影響について若干の知見が得られた。これらの結果と室内実験との対比から, 乾性土壌(B_A型土壌)の水湿状態の特徴について検討を加えた。概要はつぎのとおりである。1.試験地内に5か所の水分測定点を設けたが, そこの土壌はいずれも乾性褐色森林土(B_A型土壌)であった。2.土壌の水湿状態(pF価)は降雨と密接な関係があって, pF価は晴天期間には上昇して高い値を示したが, 降雨後には急速に降下して低い値を示した。測定できたpF価の最高値は2.89(B層), 最低値は1.30(A層)であった。長期間にわたる水湿状態は降雨条件によって支配されたが, なかでも降雨頻度がかなり重要な要素と考えられた。3.同一土壌断面において, 表層土(A層)よりも下層土(B層)が高いpF価(乾燥)を示していた場合がかなり多くみられた。この現象は乾性土壌特有の疎水性に起因するもので, 特に表層の強い疎水性によって, 下層への水の浸透が妨げられた場合に出現するものと判断された。また, 疎水性は土壌孔隙のうち, pF2.7以下に相当する粗孔隙中にも形成されているものと考えられた。4.乾燥期間に行った林地へのかん水は, 降雨量に換算して1日当り20mm程度を連続して行った場合に, 深さ30mmまでの土壌の水湿状態に変化をもたらした。
- 1974-12-25