等樹高曲線について
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概要
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従来, 地位を区分する指標としては, 樹高がおおく用いられているが, 普通, 林分を単位とするので, その林分の平均的な地位をあらわすことになるが, 地況の変化の甚だしい場合には, 同一林分でも林木の成長は局所的に変化する。したがつて施業上には, このような平均的な地位級よりも, 局所的な地位の変化を系統的にあらわしたものを知ることが必要となつてくる。この目的にそうものとして, 等樹高曲線を用いる着想は, 右田半四郎, 松下規矩両氏等によつて提案されている。等樹高曲線とは単位的林分において, 等しい樹高を示す個所を連結していつた場合にできる一連のカーブである。筆者は1955年7月, 三重県伊勢市の伊勢神宮々域林(60年生のスギ人工林)において, 実地調査を行い, 15m, 20m, 25mの3本の等樹高曲線を入れた第1図を作製し3個の地位級に区分した。更に各地位級より標準木をえらび, それぞれの樹高成長径路をあきらかにした。これによれば現在の区分は林令30年においても, ほぼ同様にあてはまることが判明した。次に各地位級に2個所づつの土壌断面を設定し, 国有林野土壌調査方法書によつて断面形態を観察したが, その結果, 断面形態によつて明瞭に区分されるのは2個の地位級で, それぞれBAおよびBDタイプによつて代表される。これらはおのおの樹高地位級I, IIとIIIとに相応するものであつた。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1957-05-25