木材需給理論の研究
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概要
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わが国林業政策にとつて, 木材の需給調整がいかに重要問題であるかは, ここに改めていうまでもなかろう。ところで, 木材はその利用範囲が拡大されるにつれて, 漸次必需品的な性格を濃厚にしつつある。このことは, いうまでもなく, 木材の供給不足のさいの価格暴騰と, 供給過剰のさいの価格暴落を生じやすく, 好況と不況の交換の激しくなりつつあることを意味しているものといえよう。したがつて, わが国木材需給の不調和が, そのような結果を齎らすのを阻止するためには, われわれはまず, それが是正の指標となる, なんらか有効, かつ具体的(ないしは実際的)な手段を発見し, もつて国民経済の安定を計るよう努めるべきであろう。これすなわち, 具体的な木材需給法則導出の意義であり, そのような法則, ないしは理論の確立こそ, 本稿の目的である。ところで, 木材の需給に影響を及ぼす市場決定要因には, 以下の叙述によつて明らかにされるように, 木材価格以外に, 所得あるいは経験的木材需要量等々, 数多くの要因があげられる。そこで, 本稿はわが国における木材需給理論確立のために, このような市場決定要因のうち, そのもつとも主要と思われる要因を考慮しつつ, 以下のごとく木材需給函数のモデルを設定する。1) d=f (p) 但し, d; 時間独立的1人当り(平均)木材需要量 2) d_t=λ(p_t, y_t) p; 時間独立的実質木材価格要因 t ; 時間趨勢的要因 3) d_t=φ(p_t, y_t, t) d_tおよびd_<t-1>; t期, およびt-1期の1人当り(平均)木材需要量 4) d_t=ψ(p_t, y_t, y_<t-1>) p_t; t期の実質木材価格要因 5) d_t=θ(y_t, y_<t-1>, d_<t-1>) y_t, およびy_<t-1>; t期, およびt-1期の実質所得要因 6) {D_t=D(P_t, ρ_t) D_t; t期の総木材需要量 S_t=S(P_&ly;t-1>, σ_t) P_t, およびP_&ly;t-1>; t期, およびt-1期の木材価格要因 D_t=S_t ρ_t, およびσ_t; t期の需要側, および供給側不規則変動要因 そうして, われわれは以上に想定した木材需給函数のモデルのうちに, 現実の木材需給理論がいかに貫徹されているかを, 市場統計値をもつて検証しよう。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1957-01-25
著者
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