安中市Cd汚染地のスギの年輪幅と年輪中のCd, Zn, Pb含有率
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
群馬県安中市には東邦亜鉛株式会社の大規模な亜鉛製錬所があり, 廃棄物特に排煙中の有害ガスや重金属(特にCd)によって製錬所周辺の農業は被害を受けてきた。林木に対する影響をみる一つの試みとして, 製錬所周辺のスギについて調査した結果をみると, 年輪幅が1955年前後から特に狭くなったことから, 1955年前後からスギの生育環境が特に悪くなったこと, すなわち鉱害が強まったようである。スギの年輪ごとの材中のCd含有率を年次別に測定すると, 過去の降下粉塵によるCd汚染の歴史とほぼ一致した。さらに材中のCdの溶出試験などから判断して, 生育中のスギは降下粉塵中のCdを年輪の材中にほぼ年次別に蓄積する, と考えられる。製錬所の周辺では, 1950年から降下粉塵によるCd汚染が強まり, 1954〜'58年にピークに達し, その後は次第に減少してきたようである。製錬所周辺のスギの年輪ごとの材中のCd含有率が増大してくると年輪幅の生長が悪くなり, Cd含有率が減少してくると年輪幅の生長が回復してくる(極端に生長悪化しているものは回復しない)。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1975-02-25