スギ内樹皮における傷害樹脂道形成能の遺伝
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概要
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スギカミキリ抵抗性スギ3品種と感受性2品種およびこれらの交雑次代501個体について, 傷害樹脂道形成能の遺伝性を調べた。樹脂道形成能は, ピン処理5日後における樹脂道をもつ個体の割合と樹脂道をもつ年輪数の2通りの方法で表した。抵抗性3品種では傷害に対してすべての個体で樹脂道を観察したが, 感受性2品種ではまったく見られなかった。またF_1個体において樹脂道を観察した個体の本数率は, 感受性×感受性の場合平均10.5%と低かったが, 抵抗性×感受性および感受性×抵抗性の場合はおのおの39%と50%であった。樹脂道が観察された内樹皮の年輪数は, 抵抗性×感受性の場合ほとんどが1つないし2つの年輪であったのに対し, 感受性×抵抗性の場合は2つから5つの年輪の場合が多かった。また総年輪数に基づき内樹皮を内, 外層部に2分し, 両者のいずれの部分に樹脂道が出現するかを調べた。抵抗性3品種ではほとんどの個体で外層部に樹脂道が見られた。子供群では感受性×抵抗性家系のほうが, 外層部に樹脂道のある個体の割合が抵抗性×感受性家系より高かった。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1988-05-01
著者
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