山地小流域における蒸発散の研究(I) : 蒸発散量, 遮断量, 蒸散量の季節変化について
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概要
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滋賀県南東部の風化花崗岩山地にある二つの小流域における観測から蒸発散量の季節変化を求めた。桐生流域(5.99ha)と川向試験流域(2.66ha)の水収支から, これら地域の平均年蒸発散量は720〜760mmと推定されている。水収支を短期間でとり, 各月の蒸発散量を求めると, 桐生, 川向ともほぼ同様で, 京都上賀茂流域で得られている結果とも類似した。また, 桐生における樹冠遮断された降水の蒸発量を既報の遮断量推定モデルによって求めた。遮断蒸発量は雨量と蒸発強度によって増減するが, その季節変動は他の項目にくらべて小さい。蒸散量は, 閉鎖した森林では土壌面(林床)からの蒸発は無視しうるとして, 蒸発散量と遮断量から求めたが, 桐生の年蒸散量は396.8mm(1972〜1976年の平均)となり, 全蒸発散量の53%に相当すると推定された。各月の蒸散量は, 冬季が0〜13mm, 夏季が50〜60mmと求められた。桐生で推定された蒸散量の季節変化は, リーフカット法などを用いた東京での既往の測定とも良好に対応した。
- 1980-02-25
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