治山ダムの熱応力によるクラック発生防止に関する研究(I) : 治山ダム内の温度分布およびその経過
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概要
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この研究は治山ダムの熱応力とクラック発生との関係を明らかにし, 治山ダムのコンクリート打設に関する仕様を求めるために行なったもので, そのうち熱応力発生の要因であるダム内のコンクリート温度について, その分布ならびに経過をダムの最大断面を対象として二次元計算により求めたものである。コンクリート打設後の日数をΔt, ダム断面をΔxの大きさに区分した場合, 打設後日数t_<m+1>, 位置(i, j)におけるコンクリート温度は, t_<m+1>において周囲との熱交換の結果得られた温度T'に, Δtの間の温度上昇量Δτを加えることにより求めた。ここでΔτ=30.0(exp{-0.72t_m}-exp{-0.72t_<m+1>})-T"T'=N{T(i, j+1)+T(i, j-1)+T(i+1,j)+T(i-1,j)}+T(i, j)(1-4N)T" : Δτにともない空気中に放散される温度[numerical formula]h^2 : 温度伝導率この解析の結果, 次の諸点を明らかにすることができた。(1)計算値は実測値とよく一致している。(2)温度が最高となる材齢はダム高が低いほど早く, ダム高4.5mの場合は3日, 7.5mの場合は5日〜7日である。最高温度に達した後の温度降下は, ダム高が低い場合は急激で, 高くなるにつれ緩慢になる。また28日以後になると, 施工方法のいかんにかかわらずダムの規模と経過日数に応じて一定の温度分布を示すようになる。(3)ダム内の最高温度の位置は, 日数の経過とともに低下する。(4)1日の打設高が低い場合には, 打設間隔をおくことによる温度降下の効果が非常に大きいが, 打設高が高い場合には打設間隔をおく効果が小さい。
- 日本森林学会の論文
- 1969-11-25