秋におけるトドマツ苗木移植後の還元糖および澱粉含有量の変動
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概要
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トドマツ苗木の秋植え適期を苗体内部の生理的変化から吟味するために, 2年生苗木を時期をかえて移植し, その後の形質および還元糖, 澱粉含有量の変化をしらべた。9月13日, 9月27日, 10月11日, 10月25日の各時期に移植した苗木の根の再形成は, 時期のおそいものほど緩慢となり, 平均の発根率は11月中旬(冠雪前日)にそれぞれ64.0,26.9,21.0および3.0%となった。幹葉の含水率は, 移植することによって据え置き苗より少なくなったが, 11月上旬までに9月13日区の苗木だけがかなり回復した。移植後, 還元糖は根部で減少し, 幹葉では一時的に異常増大する。9月13日区苗木の根部では, 移植直後に減少した還元糖が10月中旬にゆるやかに増加をはじめ, 10月下旬になると, 据え置き苗の変動と同じような糖ないし澱粉化の傾向が約2週間おくれて認められた。9月27日区では11月中旬までに減少から増大までの, その後の移植区では減少の傾向だけが認められた。各区の11月中旬における根部の還元糖含有量は, 据え置き区が最高で, 移植最終の10月25日区が最低の値をしめした。この値は根部の活力の程度をしめすものと考えられる。澱粉の含有量は, 幹葉, 根部とも移植後に異常増大し, 移植時期のおそいものほど, 移植直後の増大値が高い。秋植え時期は, 苗木の栄養分, とくに澱粉蓄積の段階にあたるので, 移植時期のおそいものほど澱粉の蓄積量が多く, これに移植処理による糖類の澱粉化の傾向が加わり, 移植直後の異常増大となる。そのあとで新しい根を形成するのにあずかる還元糖の異常増大がおこるものと考えられる。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1967-07-25
著者
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