松江地方赤黄色土の学理的性質
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概要
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島根県松江市近郊に分布する第3紀および第4紀堆積岩起源の未熟な赤黄色土を用いて母材料の粒径組成のちがいが土壌の物理性, 特に孔隙配分におよぼす影響をしらべた。その場合とくに第3紀砂岩起源の砂質な上部松江層土壌と同凝灰岩起源の埴質な川津層土壌の比較を意識的に行なつた。1.土壌成熟にともなって容積量の減少, 全孔隙量の増大がおこっても, 母材の土性がちがえば孔隙の大きさの配分が異なる。すなわち, 粒団を形成しにくい松江層土壌は容積重減少は堆積が疎になることによっておこるため粗孔隙の増大が優越するのに対し, 粒団形成の点で有利な川津層土壌は成熟段階の或る時期以後は微細孔隙増大の因子がこれに加わる。2.風乾した松江地方赤黄色土は多くの場合, 人工を以てしては自然状態ほどの大きな容積量を再現できない。これは他の土壌と著しく異なる点であつて未熟度を示す一つの指標となり得ると同時に林業経営上幾多の問題を提起している。3.茨木などが成熟した秋田スギ林土壌でしらべた資料を分析すると, 母材の粒径組成はもはや土壌の孔隙配分に影響を与えていない。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1962-06-25